歴史
穴観音 - Ana Kannon -
【穴観世音大菩薩】
地元では有名なパワースポットで、参道より進むと洞穴遺跡を思わせる「穴」が見えてきます。巨石が積み重なって偶然に出来た空間には、観音様三体とお地蔵様が祀られています。
この観音様は1,300年以上前に海を渡ってきたものではと言われており、「穴観音」についての伝承が現在にも伝えられています。
ある日、目の見えない母親の夢枕に、三体の観音様がお立ちになり、「丹後は由良川河口に霊験あらたかな観世音大菩薩様がいらっしゃる。そこへ出向きお願いすれば目が見えるようになるだろう」と仰った。娘が母親と共に探し当てたのがこの観音様で、祈願をした満願の日、母親の目が見えるようになったという話が伝えられています。諸病に関すること、さらに子宝、安産祈願、受験等学問に関する願い事(どれか一つ)にも御利益があります。
入口周辺のお地蔵様は由良川の改修の際に出てきたものとのこと。4月、9月の14日には春の大祭、秋の大祭が行われます。
観音様に近づくと、夏でもひんやりと冷たい空気が感じられます。是非その神秘的な空間を体験してみてください。
湊十二社- Minato Jyunisha -
【湊十二社大明神社】
東西神崎の氏神社。祭神は、紀州熊野の熊野三社の12柱の神を祀っています。創建時代は不明ですが、元文3年11月15日(1738年)大工棟梁 藤原家臣と書かれた再建時の棟札が発見されたとの記録があります。約290年前江戸中期の建築物であると推測されます。
鳥居に掛かる額は東郷平八郎の書。本殿前の狛犬や、庭に敷き詰めた切石は、神崎では「出雲石」と呼んでおり、北前船の西廻り航路の船が積み荷に出雲地方の文化と一緒に運んで来た貴重な石です。
参道の途中にある手水舎は煉瓦造りで、煉瓦工場の創設者から寄進されたものです。参道を挟んで北側には、清浄水と刻まれた石臼型の手水鉢があります。(南側からの参道が本来のものと言われることがありますが、詳細は不明。)
毎年10月の第2土曜日(宵宮・よいみや:船祭)と日曜日(本宮・ほんみや:本祭)の2日間にわたり、地区をあげてのお祭りが開催されます。1日目は早朝より、青年たちが家々をまわり神楽(獅子舞)を奉納。日中には木彫りの舟(オフネ)を子どもたちが引き、地区内をまわります。夜には青壮年により、祝い唄と踊りが深夜まで続きます。北前船の行き来のあった頃に松前藩より伝わったとされる、数十人による祝い唄、踊りの風景は圧巻です。
2日目は子供たちによる御神輿の巡行、正午よりお宮入りの行列が神社に到着すると、いよいよ本祭のはじまりとなります。「お庭入り」「練り込み太鼓」「東西口上」「神楽踊」「打ち込み太鼓」「室町踊」の順に進んでいきます。
「神楽踊」と「室町踊」は、“扇踊り”と呼ばれるもので、京都府登録無形文化財に指定されています。
黒紋付き羽織袴で扇子をもって踊る奉納舞。何百年と続く神崎の文化を感じられる瞬間です。